上昇型トライアングル 

上辺のラインが水平で、下辺が上昇して三角形に見えるパターンを、上昇型トライアングルといいます。上昇型トライアングルは、発生すると上昇トレンドが継続する可能性が高くなると言われています。最も一般的なチャートパターンの1つで、2本のサポートラインとレジスタンスラインで構成されています。  

ここでは、上昇型トライアングルがどのように形成されるのか、何を示しているのか、そして上昇型トライアングルの効果的な取引戦略のヒントをご紹介します。
 

上昇型トライアングルが教えてくれること

上昇型トライアングルは、価格の変動を繰り返す中、高値が更新されていない状態で、買い手が前回の安値より下がる前に買いを入れてくることで下辺がどんどん収束してくるパターンです。つまり、このチャートパターンが表れたときは上昇トレンドを示唆しており、投資家心理が強気であると言えるでしょう。この上昇型トライアングルが現れたときは、頂点をつけた後にブレイクアウトしてさらに上昇する可能性が高いと考えられます。

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上昇型トライアングルの重要な要素は3つです。

  • 上昇トレンドが発生する。
  • その中で一時的な保ち合いが発生する。
  • レジスタンスラインをブレイクアウトすることで強気な上昇トレンドが発生する。

このチャートパターンを用いて、上昇トレンドの反発で買いを入れ、ブレイクを確認した時点でさらに買いを入れる戦略が多く見られます。強気のコンティニュエーション(継続)パターンにはトライアングル以外にも、フラッグ、ペナントなど、さまざまな形があります。そのなかで上昇型トライアングルは、反転が起こる可能性よりも、同じ方向にトレンドが継続する可能性のほうが高いと考えられています。以前のトレンドの方向へのブレイクアウトが確認された時点でこのパターンは終了します。 
 

長所と短所

前述したように、上昇トレンドの継続には特定の形があります。上昇型トライアングルは、取引タイミングを特定するのに役立ちます。上側のトレンドラインのブレイクは、強気のトレンドの継続を意味しています。
 
一方、サポートラインを下回るとこのパターンは無効になります。買い手が上昇トレンドを継続するチャンスを逃したということになり、その後の動きは強い下降トレンドとなることが多いと言われています。
 
上昇型トライアングルの主な長所は、上記のように2本のトレンドラインを分析することで、指値や逆指値の注文を入れるか判断しやすくなることです。
 
他のタイプのトライアングルでもそうですが、強気のトライアングルの最大の短所は、偽のブレイクアウトです。値動きがレジスタンスラインの上に移動しても、下に戻ってしまい、逆指値に到達してしまうこともあります。ブレイクアウトの失敗の可能性を最小限に抑えるために、常に他のテクニカル指標(例:出来高、RSIなど)を参照し、多角的に分析することをお勧めします。 
 
また、上昇型トライアングルは、2本の線が収束することでよりパワーが強化されます。幅が狭くなればなるほど、ブレイクアウトが強くなる傾向にあります。しかしながら、既存のトレンドが継続する可能性は常に高くなるものの、逆方向にブレイクしてしまうこともあります。 
 

チャート上の上昇型トライアングル

先に述べたように、上昇型トライアングルは、トレンドの中盤で発生する強気のフォーメーションです。下のチャートでは、上昇トライアングルが実際の市場でどのようにあらわれるかを示しています。既存の上昇トレンドから、値動きは強気のトライアングルを通ってさらに上に伸びています。
 
まず、高値と安値を結ぶ2本のトレンドラインを引きます。すると安値のラインが高値に近づいていきます。2本のラインがお互いに近づくと、ブレイクアウトの可能性が高まります。最終的に、米ドル/スイスフランの買い手は、明確かつ強力なブレイクアウトで、市場を保ち合い局面から外に押し出すことができています。

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上のチャートを見てわかるように、上側のラインは完全に平行ではありません。一般的に、上側のトレンドラインが完全に平行になることは非常に稀で、ほとんどの場合、どちらか一方に軽度の偏りが見られることが多いです。レジスタンスラインが平行に近ければ、一般的に問題ありません。 
 

上昇型トライアングルでの取引 

同じ例を使って、上昇型トライアングルの取引方法を紹介します。ブレイクアウトがあり、レジスタンスラインを超えたことが確認されるとすぐに、ロングサイド(買い)で市場に参入することを考えます。他のローソク足 と同様、エントリーには2つの選択肢があります。ブレイクアウトしたローソク足が引けた直後にエントリーするか、反転の可能性を待つかです。
 
黒い平行線は、新規建玉であるブレイクアウトH1のローソク足の終値を示しています。逆指値はトライアングルの中に設定されており、上側のラインを下回るとこのパターンは無効になります。ブレイクしたトレンドラインを再び試す展開となる可能性を考慮して、ある程度の値幅を残しておきましょう。

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青い縦のトレンドラインは、トライアングルが最初に形成されたときの距離をコピーしたもので、2本のトレンドラインが確認されたときのものです。トレンドラインの上端は、利益確定を検討すべき場所、つまり上昇型トライアングルが完成する場所を示しています。
 
結局、市場は強気のトライアングルの形成を完了した後下降に転じました。この例は、上昇型トライアングルがいかに有益であるかを示しています。15pipsのリスクを冒して100pips近くを稼いだのですから、リスク・リターン比率は1:6以上です。
 
上昇型トライアングルは、値動きをフォーマット化し、新規、指値、逆指値といった取引内容を特定することに非常に役に立つと言えるでしょう。