一目均衡表は、主にトレーダーやアナリストがサポートラインやレジスタンスラインを決める際に使用するテクニカル指標です。
細田悟一氏が30年の歳月をかけて開発したといわれる「一目均衡表」は、トレンドの方向性やモメンタムの把握、売買シグナルの生成などにも利用されています。
「一目均衡表」は一見複雑そうに見えますが、使い方は簡単です。
一目均衡表は、5本の線を通じてトレンドと転換点を予測するテクニカル指標です。
ここでは、一目均衡表の4つの要素について簡単に説明します。
下図では、米ドル/円の1時間足チャートに一目均衡表を適用しました。
ご覧の通り、転換線は9期間のみに基づいて作られていることから、すべての要素の中で最も速く、最も敏感な移動平均線となっています。
そのため、転換線は値動きに非常によく追従し、急激な動きに対して最も早く反応します。
ここでは、一目均衡表の3つの使い方を説明します。一目均衡表は、一般的に長い時間軸に適していると言われています。
まず、「雲」は、一目均衡表の中でもとても重要な要素です。資産価格が「雲」より下の水準で取引された場合は下降トレンドであることを示唆しており、上の水準で取引された場合には上昇トレンドであることを示唆しています。一目均衡表でのブレイクは、市場が上昇または下降のどちらのトレンドにあるかを確認でき、取引を開始するシグナルになります。
一目均衡表の最も重要な機能は、トレンドの方向性を見極め、売買シグナルを生成することです。
雲はトレンドの方向に応じて色が変わります。先行スパンAが先行スパンBを上回れば、相場が上昇トレンドにあるとの見方がさらに強まります。
次に、雲の他にトレーダーが監視しているのは、転換線と基準線の関係です。前者は短期の移動平均と見なし、基準線はベースラインの役割を果たしているといえます。
そのことから、転換線が基準線の下に移動する状況は、値動きの下降トレンドを示唆しており、その逆もまた然りということになります。取引シグナルをさらに検証するためには、「雲」をよく見て、同じシグナルを生成しているかどうかを確認するといいでしょう。
最後は、チャート上の遅行スパンの位置に関してです。もし、遅行スパンが値動きよりも上の水準にあれば、それは強気のセンチメントを示唆することになり、下であれば、その逆になります。
これら3つの要因がすべて同じトレンド(強気または弱気)を示唆した場合は、きれいな取引シグナルが生成されます。
一目均衡表を使った取引について、米ドル/円の1時間足チャートで簡単に説明します。
以下の図では2つの状況を説明します。
1つ目の状況では、転換線が基準線を下回ったことから、値動きが変化して上昇トレンドから下降トレンドに移行する可能性があることを示しています。つまり、ここが売買シグナルであると考えられます。
しかし、この時点では、「雲」も遅行スパンも値動きより下の水準に位置しており、転換線と基準線の関係によって生成された売買シグナルは確認されていないことになります。
2つ目の状況では、しばらく前から、値動きが下降していることが分かります。赤線はまだ青線よりも下の水準で取引されているため、米ドル/円 はある時点で「雲」を下に抜けます。
結局、遅行スパンは市場価格を下回っており、最終的に3つの要素が同じ弱気のシグナルを発していたことになります。
もちろん、強気のシグナルの場合は、逆のロジックを適用すればいいのです。青線が赤線よりも上の水準で取引され、値動きが雲を上回る水準で、遅行スパンよりも上であれば、ロングトレードにエントリーするといいでしょう。
もし今取引をしているとしたら、さらに2つのことを決めなければなりません。
1つ目は、逆指値(ストップロス)注文です。逆指値注文は、通常雲の中にあるローソク足の高値より上に設定します。理想では、逆指値注文のレベルを決める際には、他のサポートラインやレジスタンスラインのレベルも参考にすると良いでしょう。
2つ目は、指値注文(テイクプロフィット)注文です。指値注文も同様に、マネージメントの原則とリスク許容度に基づいて設定する必要があります。繰り返しになりますが、他の指標やサポートライン・レジスタンスラインを常に参考にしてください。