シンメトリカル・トライアングルは、値動きが横ばいで推移するときに発生する保ち合いのチャートパターンです。2本のトレンドラインが交差点で収束していることから、中立のパターンと考えられています。
ここでの目的は、シンメトリカル・トライアングルの構造を知り、シンメトリカル・トライアングルを活用したトレード手法を学ぶことです。また、基本的な取引戦略も紹介します。
シンメトリカル・トライアングルは、中立のチャートフォーメーションです。2本のトレンドラインが互いに近づく方向に動いていきますが、その間隔が狭まれば狭まるほど、ブレイクアウトする可能性が高まります。
また、トライアングルの始まりは、2本のトレンドラインの間隔が最も広くなります。双方からのエネルギーがぶつかり合い、一定期間値動きが横ばい状態となる可能性が高いことを表しています。
シンメトリカル・トライアングルは保ち合いのパターンですが、2本のトレンドラインの間隔が狭まるほどブレイクアウトの可能性が高くなります。また、元のトレンドの方向にブレイクアウトしやすいといわれています。そのため、上昇トレンドの後にシンメトリカル・トライアングルが形成された場合は、ブレイクアップの可能性が高くなります。
上の左側の図は、既存のトレンドの方向が上昇トレンドであったため、値幅が狭まった後ブレイクアップした例です。図の右側は、既存のトレンドが下降トレンドであったため、値幅が狭まった後ブレイクダウンした例です。
また、シンメトリカル・トライアングルはコンティニュエーション(継続)パターンに分類されます。トライアングル自体は、全体的な上昇トレンドまたは下降トレンドの中の一時的な休止を表しています。
ここで注意したいのは、完全なシメトリカル・トライアングルを見つけるのは非常に難しいということです。2本のトレンドラインのうち、少なくとも片方がもう片方よりも傾いていることがほとんどです。そのため、完全に対称な三角形を見つけることよりも、市場が発しているメッセージに注目するようにしましょう。
シンメトリカル・トライアングル自体は、上昇と下降それぞれの勢いがともに弱まっていくことで形成されているので、相場が煮詰まってきている状態を表しています。そこからブレイクアウトするときは、大きな動きをすることが多く、ブレイクした方向に進み続けると考えられています。
しかし、どちらかの方向にブレイクしても、その方向には一時的にしか進まず、すぐ逆の方向に進んでしまう「だまし」の可能性もあります。だましである可能性を忘れず、損切りラインを設定しておくなどの工夫が必要です。
また、他のテクニカルチャートパターンと同様に、シンメトリカル・トライアングルも他のテクニカル指標 やチャートフォーメーションと組み合わせて使用することが重要になります。
経験豊富なトレーダーは、シンメトリカル・トライアングルを見つけた際には、ブレイクアウトの方向を確認するために出来高も合わせて利用していることが多いです。
先ほど説明したように、シンメトリカル・トライアングルは、価格が横ばいで推移する中、2本のトレンドラインが収束することで構成されています。ブレイクアップやブレイクダウンのタイミングを見逃さないためには、シンメトリカル・トライアングルのチャートパターンを正しく認識し、ラインを正確に引くことが重要です。
米ドル/カナダドルの4時間足チャートの下降局面では、売り方が市場を押し下げ、下降トレンドが発生しています。直近のスイングハイの後、市場はロウワー・ハイ(Lower High)を形成し始め、反対側ではハイヤー・ロー(Higher Low)が目に入ります。このように、下降トレンドの中の保ち合い局面は、シンメトリカル・トライアングルの中で形成されています。
保ち合い局面では、買い手と売り手がそれぞれトライアングルを崩そうとするため、価格が両側のトレンドラインに何度も触れています。最終的に、2本のトレンドラインの間隔は狭まっていき、ブレイクダウンしました。売り方が値動きをトライアングルの下に押しきることができたといえます。この例では、シンメトリカル・トライアングルはコンティニュエーション・パターンとして機能しており、下降トレンドが継続しています。
シンメトリカル・トライアングルを活用する方法は、少なくとも2つあります。
1つ目は、長い時間枠のチャート(少なくとも4H)で、ブレイクアウトしたらすぐに市場に参入する方法です。
2つ目は、値動きがトライアングルをブレイクしても、ブレイクしたトレンドラインを再び試すために価格が戻るまで待つという方法です。この方法では、再び試すタイミングで取引を開始することができるため、より良いタイミングでのエントリーが可能になります。一方で、この方法の弱点は、再び試す展開が確実に起こるとは限らないため、取引を開始する機会を逃す可能性があるという点です。
最初の方法の利点は、ローソク足がトレンドラインの上または下を突破した時点で取引に参加できるため、取引のチャンスを逃さないことです。しかし、終値がトレンドラインから乖離している場合もあり、その場合は、利益を確定できる範囲が狭くなる一方で、リスクとなるpipsの量が増えてしまいます。
この例では、ブレイクダウンの後、価格が上昇して再びサポートラインに達したことがわかります。最終的には、両方の方法の選択肢が提示されましたが、今回はブレイクアウトから利益を確実に得るために、4時間のローソク足がトライアングルのサポートライン(黒線)の下に出た時点で市場に参入することにしました。
逆指値注文は、三角形の内側に戻るとこのパターン自体が無効になるため、三角形の本体内に設定します。また、ウェッジの終わり近くでブレイクアウトが発生した場合、つまり2本のトレンドライン間の距離が非常に短い場合には、逆指値注文をレジスタンスラインより上に設定することもできます。
縦の青い線は、三角形の始まりで2本のトレンドラインの間の距離を測るものです。ブレイクダウンとなった動きの始まりにこの線をコピー&ペーストし、指値のレベルを決定しました。
ブレイクダウン後は下降が続き、下降トレンドの最下点が私たちの指値注文に近いところまで来ました。これは、指値と逆指値を設定する際に、常に市場が動く余地を残しておくべきであることを示す良い例です。最終的には、100pipsのリスクで約250pipsの利益を得ました。すなわち、リスク・リターン比率は1:2.5です。